オンライン読書会 シーズン3 第2回の報告と第3回の予告

こんにちは。

オンライン読書会 シーズン3 ユリウス・カエサル『ガリア戦記』第2回(2023年3月13日)の報告をします。

メンターは、小山馨太郎さん。

23歳、東京都立大学 人文科学研究科 歴史・考古学教室 前期博士課程、新進気鋭の研究者です。

テキストは、ユリウス・カエサル『ガリア戦記』(國原吉之助 訳、講談社学術文庫)。

著者のガイウス・ユリウス・カエサル(紀元前100年頃 - 紀元前44年)は「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」「来た、見た、勝った」などの名言で有名な、古代ローマの英雄です。

『リィンカーネーションの花弁』『Fate/Grand Order(FGO)』などの人気漫画、アニメ、ゲームにも登場しています。


第2回のテーマは「作家としてのカエサル」

まず第1回「将軍としてのカエサル」の復習をしてから、今回の箇所を読んでいきます。

画像は、小山さん作成の第2回資料です。

部族の分布やカエサルの進軍経路は、こちらでご確認ください。


第3巻 第7~第10章、第16章 「終わらない」戦争

カエサルが、ガリアは平和になったと思ったのも束の間、大西洋岸の部族が反旗を翻し、海戦となります。

戦争は終わりません。

カエサルは軍船の建造や水兵の募集から周到に準備をはじめたこと、大西洋の嵐の烈しさ、敵の船の頑丈さ、どのような作戦で勝利したかを、詳細に述べています。

小山さんによると、これは、ライバルの政治家ポンペイウスが地中海の海賊を征伐したことを意識して、「予も海戦がうまいぞ」とPRしているのだそうです。

参加者も、「ポンペイウスに張り合ってるの少し可愛いです(*´`) 」と反応していました。

なお、戦争に次ぐ戦争で、兵士たちは幸せだったのだろうかと心配している参加者もいましたが、小山さんによると、勝てば土地がもらえたり、やめるときに報酬がもらえたりするなど、当時の兵士は(今の会社員のように)悪くない身分だったそうです。


第4巻 第7~第15章 カエサルの「虐殺」

ゲルマニアの強い部族から追い出された弱小部族が、ガリアでの定住を求めてきます。

カエサルはその願いを拒絶するだけでなく、その弱小部族を、女、子どもに至るまで虐殺するのですが、そうせざるをえなかった経緯――カエサルが、別のゲルマニアの部族と交渉してやろうと伝えたところ、弱小部族は、受け入れる振りをしながら、カエサルの想定を越える卑怯なやり方で、味方の勇士たちを殺した――を詳しく述べています。

社会が分断され、テロや粛清が繰り返されていたローマにおいて、カエサルが自らの地位と命を守るため、必死に自分の戦争を正当化し、多くのローマ人もまたそれに納得したことがよくわかりました。

また、第1回で見たように「慈悲」はカエサルのスローガンでしたが、それが単なる優しさや甘さでないこともよくわかりました。

親ローマ部族の指導者の、涙ながらの嘆願に応じて、私利私欲に走った彼の弟を見逃したのは、人格者として知られるその指導者の顔を潰しては、全ガリアを敵に回すと考えたからです。

ガリアの別の部族がカエサルに降伏したとき、彼らを許して故郷に帰らせたのは、その土地を空けておくとゲルマニア人が進出してくる危険があったからです。

虐殺と慈悲は矛盾しているわけではない……

作家としてのカエサルだけでなく、将軍としてのカエサルのことも、深く理解できた第2回でした。

なお、こんなに殺伐とした古代ローマを、シーズン2に読んだヒュームはじめ近代の哲学者たちは褒めたたえていたわけですが、小山さんによると、それは「キリスト教や教会がなくても、こんなに素晴らしい社会が作れるのだ」と言いたかった、という事情のようです。

原典に触れるって、大事だなと思いました。


第3回(3月20日20:00-21:00)は、カエサルの軍人としての構え、特に「運」と「備え」に迫ります。

現在のイギリスにいたブリタンニア人も登場します。

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参加費は無料です。

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