こんにちは。
オンライン読書会 シーズン3 ユリウス・カエサル『ガリア戦記』第1回(2023年3月6日)の報告をします。
メンターは、小山馨太郎さん。
23歳、東京都立大学 人文科学研究科 歴史・考古学教室 前期博士課程、新進気鋭の研究者です。
テキストは、ユリウス・カエサル『ガリア戦記』(國原吉之助 訳、講談社学術文庫)。
著者のガイウス・ユリウス・カエサル(紀元前100年頃 - 紀元前44年)は「賽は投げられた」「ブルータス、お前もか」「来た、見た、勝った」などの名言で有名な、古代ローマの英雄です。
『リィンカネーションの花弁』『Fate/Grand Order(FGO)』などの人気漫画、アニメ、ゲームにも登場しています。
第1回のテーマは「将軍としてのカエサル」。
参加者から、早速質問が出ました。
「賽は投げられたは、どれくらいで出てきますか?」
小山さんの回答は、
「残念ながら、『ガリア戦記』には出てきません。しかし、『ガリア戦記』を読むことによって『賽は投げられた』の本当の意味が理解できると思いますよ」
本当の意味って、なんでしょうね? 気になります。
まずはじめに、小山さんから『ガリア戦記』を読むのに必要な古代ローマの基礎知識を教わりました。
⑴『ガリア戦記』は、カエサルの「命を賭けた自己PR」。この本がウケなければ、ライバル政治家に殺されるかもしれない。そういう状況で書かれた本。
⑵カエサルが生まれた頃のローマは「社会が分断された時代」。国が大きくなるにつれて貧富の差が広がり、対立する政治家や支持者の間でテロや粛清が繰り返されていた。
⑶カエサルは没落した名家の出身。外国の王と男色の噂が立ったり、海賊に捕まったり、賄賂や愛人のために散財して多額の借金を背負ったり、クーデター計画への関与を疑われたりしながらも、属州ガリアの総督に上り詰める。
⑷ガリア総督の任期満了が迫る頃、ローマの有力者たちは、カエサルを失脚させようとしていた。この状況を打開するべく、カエサルは『ガリア戦記』の執筆に取り掛かる。
なるほど、『ガリア戦記』は、誰もが認めるヒーローが趣味で書いたものかと思っていましたが、切迫した事情の中で書かれた作品だったのですね。
「賽は投げられた」のヒントが、少し得られたように感じました。
第1回に読んだ箇所と、その要点を挙げます。
すべて第1巻です。
第1~2章(ガリアってどこ?)
第10~12章(なぜ戦争するの?)
第16~20章(カエサルの「慈悲」その1)
第27~29章(カエサルの「慈悲」その2)
「慈悲」はカエサルのスローガンだったそうです。
参加者も、
「カエサルが慈悲深いというのは初めて知りました」
と驚いていました。
音読すると、カエサルや当時の人々が身近に感じられて、ワクワクしてきます。
なお、添付しているのは、小山さん作成の第1回資料です。
部族の分布やカエサルの進軍経路が一目瞭然で、カエサルの「慈悲」の意味もよくわかりました。
第2回(3月13日20:00-21:00)は、「作家としてのカエサル」に迫ります。
第3巻 第7~第10章、第16章(「終わらない」戦争)
第4巻 第11~第15章(カエサルの「虐殺」)
小山さんからのメッセージです。
「第2回は、カエサルが、自分の戦争を正統化するために何をしたのか、また、なぜ多くのローマ人がそれに納得したのかを考えます」
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