オンライン読書会 シーズン4 第3回の報告と第4回の予告

こんにちは。

オンライン読書会 シーズン4 田中慎一・保田隆明著『コーポレートファイナンス 戦略と実践』(ダイヤモンド社刊)第3回(2023年9月4日@Google Meet)の報告をします。

メンターは、山根久弥さん。

23歳、慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 前期博士課程から金融業界に就職することになっています。

まず、前回のおさらいも兼ねて、HIKAKINも所属する国内最大のYouTuber事務所・UUUM株式会社のIRライブラリーの「決算短信」「決算説明資料」から、売上高、営業利益、総資産を確認。

総資産利益率ROA:Return On Assets) 利益(営業利益)/総資産

売上高利益率(営業利益率)  利益(営業利益)/売上高 収益性指標(いかに儲かっているか)

総資産回転率 売上高/総資産 生産性指標(いかに効率的に稼ぐか)

を計算して、日本の上場企業の平均、営業利益率6%、総資産回転率0.8回、ROA5%と比較しました。


さて、第3回のテーマは「M&Aの金額の決め方、現在価値の考え方(DCF)とCompsの考え方」
M&Aとは企業の合併・買収のことですが、いったいどのように企業に値段を付けるのでしょうか? 

その方法として、企業の現在価値に着目したDCF法と、Comps(類似会社比較法)を見ていきます。


第4章 ファイナンスの一丁目一番地「現在価値」

第6章 DCF法による事業価値の算出方法(超実践版)

第7章 株式市場での同業他社の評価
第8章 M&Aにおける買収金額の決め方


から数ページずつ、参加者の中の希望者が交代で音読していきました。

まず、現在価値(例えば、今日の100万円)と将来価値(例えば、1年後の105万円)が釣り合っている、という見方を学びました。

企業の現在価値に着目するのが、DCF法です。

簡単に言うと、企業が事業に費やすお金が、将来どのくらいのお金になるかを予測し、翻ってそれが現在どのくらいの価値なのか、を計算するのです。

Comps(類似会社比較法)は、類似会社のデータから株式市場が見た企業価値を算出する方法です。


これらDCF法とCompsは理論的な株価の算出方法ですが、株式市場に上場している企業を実際に買収する際は、株式公開買い付け(TOB)によってその企業の株主から株を買い集めることになります。

いったい株主はいくらならば売ってくれるでしょうか?

その決定においては、理論株価と別のメカニズムも働きます。

株主は株式会社の株式を持っている人、つまり会社に投資している人です。投資している人は、自分のお金を増やしたいと思っています。

つまり、株主は理論株価よりも、自分が株を取得した金額や今の市場株価と、提示されたTOB価格を比べて、TOBに応じるのと、応じずに保有し続けるのと、どちらが得か、と考えます。

単純に考えると、今後株価がTOB価格よりもっと上昇する、と思えば保有し続ければよいわけです。

そこで買収側はTOBを成功させるため、しばしば市場株価よりも高い価格を提示します。

その差額をTOBプレミアムと呼びます。過去の事例では30%程度だそうです。

ここで、

「UUUMのプレミアムはどのくらいですか?」

という質問が出ました。

前回話題となった、UUUMに対するフリークアウト・ホールディングスのTOBですね。

UUUM社はTOBに対し賛同の意見を表明し、TOBへ応募するか否かは株主の判断に委ねると発表しました。
UUUM創業者で筆頭株主の鎌田和樹会長らがTOBに応じるそうです。

買い付け価格は1株あたり727円、8月10日の市場株価の終値に対して0.7%のプレミアム。
さきほど見た30%という数字に比べると、ずいぶん低いです。

ちなみに、公開買い付け期間は昨日、9月8日までです。
TOBに応じた株主がどのくらいいたかは、次回の話題といたしましょう。


第4回(9月11日20:00-21:00)のテーマは「株主還元」を予定しています。

株主のお金を増やすためには、会社の儲けをたっぷりと分けてあげる(配当)ほうがよいのか、それとも、配当を抑えて、会社がさらに成長するために使うほうがよいのか、という悩ましい問題について考えます。

申込みは、メール( info@thinkers.jp )、Facebook( @jp.thinkers )のメッセージ、X(旧Twitter)( @jp_thinkers )のDM、いずれでもOKです。

参加費は無料、事前に本を読んでおく必要はありませんので、お気軽にご参加ください。


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