根掛けから電線、データセンター、そして核融合へ

こんにちは。

11月下旬にこんな記事を見かけました。

https://www.bloomberg.com/

AI人気で光差す139年の老舗電線企業、日本株上昇率1位はフジクラ

(ブルームバーグ): 世界的な人工知能(AI)ブームが、創業139年の歴史を持つ老舗電線企業を日本株市場のスターの座に押し上げている。

データセンター向け光ファイバーケーブルやスマートフォン向けフレキシブルプリント基板(FPC)、自動車用ワイヤハーネスなどを製造するフジクラの株価は今年に入り5倍以上上げ、東証株価指数(TOPIX)構成銘柄の年初来上昇率で断トツだ。25日にはグローバル投資家がベンチマークに使うMSCIオール・カントリー・ワールド指数(ACWI)に日本から唯一採用される。

フジクラの取締役最高財務責任者(CFO)を務める飯島和人氏はブルームバーグのインタビューで、「2022年くらいからデータセンターの需要が大変高まってきた」と指摘し、特に今年に入りAIのためにデータを蓄積、管理する設備やシステムが山ほど必要だという「『GAFAM』の考えを肌で感じている」と語った。

(省略)

スマホ向けFPCを製造するフジクラは、米アップルに部品を供給するサプライヤーリストにも名を連ねる1社。また、細径化と高密度化に成功した独自の光ファイバー技術「SWR」にも強みを持っている。

(省略)

フジクラは1885年に藤倉善八氏が絹・綿巻線のメーカーとして創業。電線からワイヤハーネス、光ファイバーと供給製品を拡大し、新幹線の信号ケーブルなども作っている。新型コロナウイルスの流行や米中の貿易摩擦に直面した20年3月期には16年ぶりの最終赤字に陥ったが、AIブームの恩恵でここ数年の利益は拡大傾向だ。

(省略)

AIブームが業績を押し上げるフジクラが次に狙うマーケットは核融合だ。同社は昨年、米国で世界初の核融合炉の実証に取り組むコモンウェルス・フュージョン・システムズに対し、レアアース系高温超電導線材の納入を開始し、将来的な同製品の生産能力拡大を目指している。飯島CFOは「2030年以降の柱になってくれればと考えている」と話した。

(引用ここまで)


電線の前は何をしていたのかな?と興味をもって、フジクラ社の公式サイトに行きました。

なんと、フジクラの創業者は、根掛けという、日本髪の髪飾りで、細い組紐に珊瑚などを数珠のように繋いだ、今で言えばブレスレットみたいな形状のものを作っていて、そこから電線をやろうと思いついたそうです。

面白いですねー

さらに創業者さんは商売上手だったようで、こんなエピソードもありました。

https://www.fujikura.co.jp/history/1843/index.html

「1884年(明治17)、善八は丸型の根掛けを創意工夫する。その新製品に「市川掛け」と命名し、当時の歌舞伎の名優9代目市川団十郎に依頼して口上とともに毎日数百本を客席にばら撒いた。それが評判となり、全国から注文が殺到する。そして、その利益が善八の電線事業の資金的背景となったのである」


細くて長い線状のものをねじり合わせる、と髪飾りを作る仕事を抽象化し、世の中の動きを俯瞰して、電線、データセンター、そして核融合へ。

素晴らしいと思います!


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