オンライン読書会 シーズン4 第4回の報告

こんにちは。

オンライン読書会 シーズン4 田中慎一・保田隆明著『コーポレートファイナンス 戦略と実践』(ダイヤモンド社刊)第4回(2023年9月11日@Google Meet)の報告をします。

メンターは、山根久弥さん。

23歳、慶應義塾大学大学院 理工学研究科 総合デザイン工学専攻 前期博士課程から金融業界に就職することになっています。


第4回のテーマは「株主還元」

株主のお金を増やすためには、会社の儲けをたっぷりと分けてあげる(配当)ほうがよいのか、それとも、配当を抑えて、会社がさらに成長するために使うほうがよいのか、という悩ましい問題について考えました。
第2回、第3回に比べると、理解しやすい内容だったと思います。

そのためか、参加者からは、

「個人的に面白かったです! 今回は特に興味がある箇所だったのでとても楽しかったです!」

という声があがっていました。

読んだ箇所は、

第9章 株主還元政策

02 ペイアウトの全体像

03 配当について

04 自社株買いについて

06 株主優待をどう考えるべきか

第10章 IR戦略
01 IRの前提知識

02 誰を対象とするのか

05 マーケットを司る超重要要素としての流動性

です。


ペイアウト(株主還元)とは要は、今期稼いだ利益のうちどの程度を配当として支払うか、ということですが、それを表した数値を配当性向と言います。

欧米企業の配当性向は分布が広くなっていますが、日本企業の配当性向は3割前後に集中しています。

では日本企業が残り7割を企業の成長に使っているかと言うと、そうでもありません。

「(日本企業の経営者には)事業投資するひとは少ないんですね。意外です」
という感想が出ました。


お次はクイズです。

配当を増やすと株価は理論的には上がるでしょうか、下がるでしょうか?

答えは○○○ですが、これまで学んできた企業価値、株主価値という視点からメンターに説明してもらって、参加者は納得していました。

(代表渡辺の私見ですが、9-8の図は少しわかりにくいように思います。)

ここで権利落ち日に関連する記述、配当の権利確定日「から4営業日前の時点で株式を保有しておく必要があります」について、

「なぜ4営業日前なのですか?」

という質問が出ました。

なお、以前は4営業日前でしたが、現在では2営業日前となっています。

読書会のときは「手続に時間がかかるからかなあ…」としか言えなかったので、少し調べてみました。

2009年に、紙に印刷されたすべての上場株券が無効となり、株式の権利をデータで管理することになりました。

この株券電子化によって株券の名義書換が不要になったため、権利確定日までの日数が段階的に短縮されたのです。

参考 金融庁「株券電子化について」

ただ、現在でも権利確定日に株主名簿に名前が載っている必要があるので、いつか1営業日前になることがあるとしても、それはだいぶ先なのかなあ…と思いました(詳しい方、ぜひ教えてください)。


最後はIR(Investor Relations 株式投資家対応)について学びました。

具体例として、HIKAKINも所属する国内最大のYouTuber事務所・UUUM株式会社のIRニュースのページにある2023年09月09日の適時開示「株式会社フリークアウト・ホールディングスによる当社株券に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」を見てみましょう。

前回見たように、UUUMに対するフリークアウト・ホールディングスの株式公開買い付け(TOB)について、UUUM社は賛同の意見を表明し、TOBへ応募するか否かは株主の判断に委ねると発表しました。

買い付け価格は1株あたり727円、8月10日の市場株価の終値に対して0.7%のプレミアム。

TOBプレミアムは、過去の事例では30%程度ということですから、ずいぶん低いです。

公開買い付け期間は9月8日まででしたが、株式に換算した応募数は1040万3982株。

その全てが買い付けられることになりますが、UUUMの創業者で筆頭株主である鎌田和樹氏と、第2位株主の梅田裕真氏がTOBに応じることになっていて、お二人は合計でUUUM株の38.22%を保有していました。

TOBによってフリークアウト・ホールディングスの議決権所有割合は50.77%となるそうなので、お二人を除き、ざっくり260万株くらいの株主がTOBに応じた模様です。

参加者は「イメージ通りですねw」と言っていましたが、いかがでしょうか?


オンライン読書会 シーズン4はこれにて終了です。

なかなか歯応えがありましたが、

「いろんな用語を知ることができてよかったです」

と言ってくれた参加者がいて、ホッとしました。



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