オンライン読書会 シーズン2 第4回の報告とシーズン3の予告

こんにちは。

オンライン読書会 シーズン2 第4回(2023年1月30日)ヒュームの「道徳論」の報告をします。

テキストは、ヒューム『人性論』(土岐 邦夫、小西 嘉四郎 訳、中公クラシックス)。

まずは、「道徳ってなに?」「道徳ってどうやってできたの?」からです。


メンター高萩智也さんによると、人間は生まれながらに博愛精神をもっている、と主張した人もいたそうですが、ヒュームは、人間はそんな崇高な生き物ではないんだ、と主張します。

神様が道徳を作ったという説に対しても、ヒュームは、道徳は人間が作ったものだと述べます。

しかし、私たちは、他の人の行為を「立派だ」とか「善い」と褒めることがありますよね。

そのとき私たちは、その人が善い人だということをどうやって決めているのでしょうか?

それは「共感」によるものだ、とヒュームは言います。

弦楽器を弾いたことのある人はわかると思いますが、ある弦をはじくと、隣りの弦も揺れます。

同じように、隣りの人が泣いていると自分も悲しくなる、それが「共感」です。

と言っても、自分の近くにいる人に「共感」することはできても、遠くにいる人に「共感」するのは難しいように思えます。

どうしたらいいのでしょうか?


極端な例ですが、運動会の騎馬戦(のようなもの)で、赤組の大将が勇敢に戦って、白組の自分のほうに向かって突進してくるところをイメージしてみてください。

そのとき、赤組の大将の勇敢さは、白組の自分にとっては、脅威であり、不快なものです。

しかし、もし赤組のメンバーに「共感」するならば、その勇敢さは褒められるべきものなのです。

そのように、「私たちは自分の個人的な利益を排除して、みんなに共通する同じ視点から、ある行いをした人が本当に善い人かどうかを判断しなければいけない。これこそ道徳である」(高萩さんのレジュメより)


ここで代表・渡辺が思い出したのは、「新年のご挨拶」で紹介した、ウクライナの平和を願って年越し初滑りをしたスキーヤーたちのことです。

私たち人間は崇高な生き物ではないかもしれないけれど、遠い国で苦しんでいる人に「共感」することはできるのです。


最後におまけとして、高萩さんが有名な「ヒュームの法則 / ヒュームのギロチン」について教えてくれました。

その内容は、事実(〜である)から当為(〜すべき)は導かれない、というものです。

高萩さんの例がわかりやすかったです。

「みんな黒いランドセルを背負っている、だからあなたも黒いランドセルにするべきだ、とは言えない」

ひょっとしたら、レポートを書く際の注意事項として「事実と意見を区別して書くように」と言われている人もいるかもしれませんね。

これを最初に指摘したのは、ヒュームなのだそうです!

参加者も、

「いろんな人に気をつけてほしいですね(´︶`)ノ」

と言っていましたよ。


2月は準備のためお休みをいただいて、シーズン3は哲学を離れ、カエサルの「ガリア戦記」を読みます。

3月6日、13日、20日、27日のそれぞれ20時~21時を予定しています。

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